アトピー性皮膚炎の生物製剤(2026年9月最新)
アトピー性皮膚炎の生物製剤(バイオテクノロジーを応用して作られた抗体医薬品)は、炎症やかゆみの根本原因となる免疫物質の働きをピンポイントで抑える注射薬です。従来の塗り薬や飲み薬、紫外線治療では十分なコントロールが得られなかった中等症から重症の患者さんに対して、症状の大きな改善が期待できる治療法として近年注目されています。横浜駅きた西口から徒歩3分のスピカ スキンクリニック 横浜では、日本皮膚科学会認定の皮膚科専門医が、患者さん一人ひとりの皮膚状態に合わせて生物製剤の導入や外用療法の見直しを丁寧に行っています。
アトピー性皮膚炎の生物製剤とは?従来の治療との違い
アトピー性皮膚炎の生物製剤とは、体内で炎症を引き起こす特定のサイトカイン(情報伝達物質)を狙い撃ちにしてブロックする注射薬のことです。従来のステロイド外用薬や免疫抑制薬のように免疫全体を幅広く抑えるのではなく、アレルギー炎症や強いかゆみに関わる特定の経路だけを集中的に抑える特徴があります。
従来の治療法を続けても強いかゆみや湿疹が治まらない場合でも、生物製剤を用いることで皮膚のバリア機能の回復やかゆみの軽減が期待できます。ステロイド外用薬の使用量を減らしながら、良い皮膚の状態を維持することを目指す治療選択肢です。
当院におけるアトピー性皮膚炎の全般的な治療方針については「アトピー性皮膚炎」のページもご覧ください。
生物製剤によるアトピー性皮膚炎治療の対象となる人
生物製剤による治療は、すべてのアトピー性皮膚炎の患者さんに最初から使われるわけではありません。日本皮膚科学会のガイドラインに基づき、一定の基準を満たした中等症から重症の患者さんが保険適用の対象となります。
具体的には、以下のような条件に当てはまる方が適応を検討されます。
- 皮膚科専門医の指導のもとで、十分な強さのステロイド外用薬やタクロリムス軟膏などの塗り薬を一定期間適切に使用しても、十分な効果が得られない方
- 強いかゆみや広範囲の皮疹により、睡眠や仕事、学業などの日常生活に大きな支障が出ている方
- 紫外線療法などの治療を行っても、皮膚の炎症やかゆみのコントロールが難しい方
ご自身が治療対象に該当するかどうかは、皮疹の範囲や重症度スコアなどを皮膚科専門医が診察して総合的に判断します。
アトピー性皮膚炎に用いられる主な生物製剤と特徴
アトピー性皮膚炎に対する生物製剤は、標的とする物質や投与間隔に違いがあります。現在広く用いられている代表的な薬剤の特徴を理解し、生活スタイルに合わせた治療計画を立てることが大切です。投与間隔や維持期のスケジュールなどに薬剤ごとの特徴があり、患者さんの症状や通院ペースに応じて適した薬剤が検討されます。
デュピクセント®(一般名・・デュピルマブ)
デュピクセント®は、アトピー性皮膚炎の炎症を引き起こす主要な物質である「IL-4」と「IL-13」の働きを両方ブロックする注射薬です。皮疹の改善だけでなく、早い段階でのかゆみ軽減が期待できます。初回に2本(3割負担で約32,200円)皮下注射を行い、その後は2週間に1回(3割負担で約16,100円)のペースで投与を継続します。状態が安定した後は、医師の指導のもとでご自宅での自己注射に移行することも可能です。
デュピクセントの詳細や特徴については「デュピクセント®」のページで詳しく解説しています。
ミチーガ®(一般名・・ネモリズマブ)
ミチーガ®は、アトピー性皮膚炎の炎症に関わる「IL-31」のみを選択的に阻害する注射薬です。IL-31は、主にTh2細胞から産⽣されるサイトカインで、アトピー性皮膚炎の痒みを引き起こす主な原因物質の一つとして知られています。IL-31の受容体は、末梢神経や表皮角化細胞などに発現しており、痒みを引き起こす反応に関与しています。また、IL-31は、痒みのシグナルを伝達する神経節細胞の神経線維が伸びることを促進させるといわれています。痒みを感じて皮膚をかきむしることによって、皮膚の状態が悪化し、さらに痒みが増す、という悪循環(Itch-scratch cycle)を繰り返します。この悪循環をブロックすることで痒みを改善させる注射薬です。6歳以上に適応があります。13歳以上および成人には1回60mg(3割負担で約35,000円)を4週間の間隔で皮下投与します。状態が安定した後は、医師の指導のもとでご自宅での自己注射に移行することも可能です。
アドトラーザ®(一般名・・トラロキヌマブ)
アドトラーザ®はアトピー性皮膚炎の炎症に関わる「IL-13」のみを選択的に阻害するヒト抗ヒトIL-13モノクローナル抗体の注射薬です。IL-13は、皮膚バリア機能障害、痒み、皮膚の肥厚、易感染性を引き起こすといわれており、アトピー性皮膚炎に関与するメディエーターと考えられています。そのIL-13をブロックすることにより、アトピー性皮膚炎の症状を改善させます。初回に600mg(3割負担で約25,200円)を皮下投与し、その後は1回300mg(3割負担で約12,600円)を2週間隔で皮下投与します。2026年9月時点では成人にのみ適応があります。状態が安定した後は、医師の指導のもとでご自宅での自己注射に移行することも可能です。
イブグリース®(一般名・・レブリキズマブ)
イブグリース®はアトピー性皮膚炎の炎症に関わる「IL-13」のみを選択的に阻害する抗ヒトIL-13モノクローナル抗体製剤という注射薬です。12歳以上かつ体重40kg以上の小児、および成人に適応があります。初回および2週後に1回500mg(3割負担で約30,500円)、4週以降、1回250mg(3割負担で約15,235円)を2週間隔で皮下投与します。なお、状態に応じて、4週以降、1回250mgを4週間隔で皮下投与することができます。状態が安定した後は、医師の指導のもとでご自宅での自己注射に移行することも可能です。
生物製剤治療の費用と保険適用について
アトピー性皮膚炎に対する生物製剤は公的医療保険が適用されますが、一般的な塗り薬や飲み薬と比べると薬剤費が高額になります。窓口での自己負担割合(1割から3割)に応じて費用が生じます。
生物製剤による治療を継続する場合、医療費の負担を軽減する公的制度として「高額療養費制度」や「付加給付制度」、会社の健康保険組合独自の助成制度などが利用できる場合があります。ご自身の加入している健康保険や所得区分によって自己負担限度額が異なりますので、制度の利用についてはご加入の保険者へご相談ください。
アトピー性皮膚炎の生物製剤治療で注意したい副作用
生物製剤は特定の免疫経路のみに作用するため、全身の免疫を強く抑制するステロイドの内服などに比べて重篤な感染症のリスクは低いとされていますが、いくつかの副作用に注意が必要です。
- 注射部位反応・・注射した部位の赤み、腫れ、痛み、かゆみなどが現れることがあります。多くは軽度で自然に治まります。
- 結膜炎・眼症状・・目のかゆみ、充血、異物感、乾燥などが生じることがあります。症状が続く場合は眼科的な治療を併用します。
- アレルギー反応・・まれに薬剤に対するアレルギー症状が現れることがあります。
- 感染症・・上気道感染、頭痛、副鼻腔炎などの症状が現れることがあります。
投与開始後は体調変化がないかを定期的に確認しながら慎重に治療を進めていきます。気になる症状がある場合は自己判断で中断せず、必ず医師にご相談ください。
スピカ スキンクリニック 横浜のアトピー性皮膚炎治療
スピカ スキンクリニック 横浜では、生物製剤の導入だけでなく、アトピー性皮膚炎治療の基本である外用療法と紫外線療法を組み合わせた包括的な診療を行っています。
全身型・部分照射型の紫外線治療器を完備
当院では、従来の塗り薬や飲み薬だけでは改善が難しい中等症から重症の患者さんに対して、保険適用の紫外線治療を積極的に行っています。全身型(ナローバンドUVB)と部分照射型(エキシマライト)の両方を導入しており、塗り薬や飲み薬と併行して照射することで、かゆみの改善やステロイドの強さを下げるスピードを速めるサポートをしています。
紫外線療法の詳細については「紫外線療法」のページをご覧ください。
正しい外用指導の徹底
生物製剤を使用する場合でも、日々のスキンケアと保湿剤・外用薬の正しい塗布は欠かせません。当院ではオリジナルの資料などを用いながら、適切な塗布量や塗り方を身につけていただけるまで丁寧に繰り返しご説明しています。
横浜駅徒歩3分・夜間診療で続けやすい通院環境
アトピー性皮膚炎の継続治療を無理なく続けていただけるよう、当院は横浜駅きた西口から徒歩3分の好立地に位置し、お仕事帰りや学校帰りでも受診しやすい夜間診療を行っています。通院の負担を減らし、治療の継続をしっかり支えます。
詳しいアクセス情報は「アクセス」のページ、診療日時は「診療時間」のページをご確認ください。
アトピー性皮膚炎の生物製剤についてのよくある質問
Q1. 生物製剤を始めたら、塗り薬や保湿剤はやめられますか?
A1. 生物製剤を開始しても、毎日の保湿ケアや抗炎症外用薬の併用は原則として継続します。皮膚の状態が良くなるにつれて、徐々に強いステロイド外用薬を減量したり、塗る頻度を減らしたりすることを目指します。
Q2. 注射はずっと続けなければいけませんか?
A2. 生物製剤は長期的に皮膚の良い状態を維持するための治療です。症状が落ち着いて安定した状態(寛解-症状が一時的または継続的に治まっている状態)が維持できれば、投与間隔の延長や減量、中止を検討できる場合もありますが、自己判断での急な中断は再燃を招くことがあるため医師と相談しながら慎重に進めます。
Q3. 自己注射は痛いですか?自分でも打てますか?
A3. 注射針は非常に細く、痛みを軽減する工夫がされています。自己注射を希望される場合は、院内で医師が手順を丁寧にお教えし、ご自身で安全に打てるようになるまでしっかりサポートしますのでご安心ください。
院長より
アトピー性皮膚炎の強いかゆみは、集中力の低下や睡眠不足を引き起こし、日常生活に大きな負担を与えます。皮膚の見た目に悩み、気持ちが塞いでしまう方も少なくありません。私の親族にも、重症のアトピー性皮膚炎による激しいかゆみから目の周りを強くこすり続け、若くして白内障の手術を受けた者がおりました。その経験から、同じような苦しみを抱える患者さんを一人でも減らしたいという強い思いを持って日々の診療にあたっています。
従来の治療で十分な改善が得られず悩まれている方でも、生物製剤や紫外線治療、外用療法の見直しを組み合わせることで、快適な日常生活を取り戻せる可能性が広がっています。あきらめずに、ぜひ一度当院へご相談ください。
当院の診療理念や医師紹介については「院長紹介」のページもあわせてご覧ください。

