ゾレア®(慢性じんましん・季節性アレルギー性鼻炎の注射《保険適応》)
ゾレアは、慢性じんま疹、花粉症、気管支喘息に対して用いられる注射の治療薬(保険適応)です。
当院では、慢性じんま疹、花粉症をお持ちの12歳以上の患者さんに対して投与しています(気管支喘息には当院では投与できません)。
※初診の患者さんに当日投与することはできません。
注:患者さんの強い希望があっても、条件に該当しなければゾレアの注射は行えません。(希望がある人が全員受けられる治療ではありません)。
この治療が受けられない例
①「飲み薬を飲めば蕁麻疹は出ないが、飲み薬が面倒なので注射にしたい」
→ゾレアの治療は受けられません。飲み薬で治まる場合はゾレアは使えません。
②「まだ飲み薬は数種類しか試していないが、今のところ効果が無いのでゾレアをやりたい」
→他に合う薬がある可能性があります。専門医のもとで、他の治療薬も試す必要がありますので、ゾレアを使うかどうかは数回診察してから判断します。
最近は、SNSで素人が発信している情報を見て「自分もやりたい」と来院される方が大変多いですが、他の人がやっているからといって自分もできるわけではありません。
お金さえ払えば受けられる美容整形手術などの自費治療と異なり、保険診療では、その治療を行うかどうかは医師が判断します(患者さんが決めることではありません)。患者さんの希望が強くても、条件に該当しなければその治療は受けられません。患者さんの自己負担はわずか1~3割で、残りの7~9割の医療費は健康保険組合(もしくは自治体)が支払うため、ゾレアのような高額な治療は特に条件が厳しく限定されています。「条件に該当しないため行えない」と説明しても診察室で粘る方がいますが、お互い時間の無駄ですのでお引き取り願います。
慢性じんましん
投与できる患者さんの条件
下記の条件に該当する場合に投与できます。
①特発性の慢性蕁麻疹患者である
- 食物、物理的刺激等の蕁麻疹の症状を誘発する原因が特定されない。
- 個々の皮疹に関する直接的原因ないし誘因なく自発的に膨疹が出現するもののうち、発症してからの期間が6週間以上経過したものを慢性蕁麻疹と呼ぶ。
(蕁麻疹診療ガイドライン2018〔日本皮膚科学会〕)
②既存治療で効果不十分である
- ヒスタミンH1受容体拮抗薬の増量等の適切な治療を行っても、日常生活に支障をきたすほどの痒みを伴う膨疹が繰り返して継続的に認められる。
③12歳以上である
④本剤の成分(オマリズマブ[遺伝子組換え])に対し過敏症の既往がない
投与方法
4週間毎に皮下に注射します。はじめの2回は院内で投与する必要がありますが、患者さんに注射方法を指導し、問題なくご自身で注射可能となった場合、自宅で注射できるように処方することができます。
基本的な投与期間は12週までです。
なお、12週間投与しても改善が見られない場合は、投与は中止します。
季節性アレルギー性鼻炎
投与できる患者さんの条件
下記の条件に該当する場合に投与できます。
①既存治療で効果不十分な重症または最重症患者:血液検査で条件に該当しなければ投与できません。また、これまでの治療歴が不明または不足している場合は、当院でしばらく飲み薬等で治療した後に、投与できるか判断する必要があります。
②抗ヒスタミン剤と点鼻薬を使用
③12歳以上の季節性アレルギー性鼻炎患者
④本剤の成分(オマリズマブ[遺伝子組換え])に対し過敏症の既往がない
投与方法
院内で4週間毎に皮下に注射します。自宅での自己注射はできません。
基本的な投与期間は12週までです。
なお、12週間投与しても改善が見られない場合は、投与は中止します。