舌下免疫療法(シダキュア、ミティキュア):スギ花粉症、ダニアレルギー性鼻炎
注:スギ舌下免疫療法(シダキュア)は、長期にわたって、全国的に薬の供給が追いつかない状態が続いておりましたが、2025年10月頃より少しずつ薬の流通が再開し、当院では20人程度の患者さんが2025年度中に治療を開始することができました。スギ花粉の飛散時期(1~5月)は初回投与が出来ないため、次の治療開始時期は2026年6月以降となります。時期が近づきましたら、血液検査・同意書記載済みの患者さんに関しては、予約が取得できるように枠を開放します。
当院では、スギ花粉症、ダニアレルギー性鼻炎の患者さんに対して、アレルゲン免疫療法のひとつ、「舌下免疫療法」(シダキュア、ミティキュア)を行っています。
アレルゲン免疫療法は、以前はアレルゲンを含む治療薬を病院で皮下に注射する方法が行われていましたが、近年、治療薬を舌の下に投与する「舌下免疫療法」が登場したことで、自宅で行えるようになりました。
効果
舌下免疫療法は、3年~5年間、毎日薬を内服することによって、アレルギー症状を治したり、長期にわたり(3年続けた場合は約6年、5年続けた場合は約10年と言われています)症状を抑える効果が期待できます。
症状が完全に抑えられない場合でも、症状を和らげ、アレルギー治療薬を減らせる場合があります。
主な副作用
- 口の中の浮腫、腫れ、かゆみ、不快感、異常感
- 唇の腫れ
- 喉(のど)の刺激感、不快感
- 耳のかゆみ
など
重大な副作用
- ショック
- アナフィラキシー
治療の流れ
※初めて薬を飲む際は、強いアレルギー反応を起こす可能性があるため、院内で飲むことが義務づけられています。
①血液検査で、スギもしくはダニにアレルギーがあることを確認します。約1週間後に血液検査の結果が出ます。他院での血液検査データがある方はご持参下さい。
②約1週間後の診察時に、血液検査の結果を確認し、アレルギーがあることが確認できたら、会計後に処方せんを発行します。患者さんに、近隣の薬局に処方せんをご持参頂きます。
③処方せんを薬局に提出し、薬を受け取ったら、クリニックに戻って頂きます。
④院内で医師の前で薬を服用します。舌の下に1分間保持し、つばを飲み込まないようにします。1分経過したら、つばを飲み込んでかまいません。その後、5分間は飲食・うがいをしないようにします。院内で30分待機し、強いアレルギー反応を起こさないかどうか確認します。何事もなければ、帰宅可能です。
※強いアレルギー反応を起こした場合、設備の整った総合病院に救急搬送する可能性があります。そのため、初回の投与時は平日の12時~12時半の枠のみ、予約を受け付けています。
⑤翌日から6日間は自宅で内服します。
⑥1週間後(同じ曜日)に来院し、その日以降(2週目以降)の薬を受け取ります。その際は、院内で飲んだり待機したりする必要はありません。ただし、受診が夜遅い時間だと、当日中に薬局で薬を受け取れない可能性があり、空白期間ができてしまうため、遅くとも18時受付枠での受診が必要です。2週目以降は、1週目より薬の濃度が濃くなります。
⑦薬が途切れないように定期的な受診が必要です。当院のオンライン診療での継続も可能です。
Q&A
Q 費用はどれくらいですか?
保険適応があります(下記は3割負担の場合の価格)
- 初回: 4,000~5,000円程度
- 2回目以降 1か月あたり2,000~3,000円程度(クリニックの診察代と薬局での薬代の合計で)
Q 効果が出る割合はどれくらいですか?
- 80%程度の方に効果があるとされており、治験例では有効持続期間は約7~8年です。
- 2018年にスギ花粉症の舌下免疫療法の患者さんに対して行われた研究では、3年目に33%が寛解(症状がほぼなく、薬を使用せずに生活できる)、9%はスギ花粉の飛散時期でも薬を使用せずに全く症状がない状態となりました。
- まれに、治療しても効果が出ない場合もあります。
Q 効果が出るかどうか事前に調べる方法はありますか?
- 残念ながら効果を予測する方法はありません。
Q 副作用がでる割合はどれくらいですか?
- 頻度の高いアレルギー反応は、口の中の浮腫・腫れ・かゆみ・不快感・異常感、唇の腫れ、喉(のど)の刺激感・不快感・耳のかゆみなどの局所的・軽症のもので、シダキュアでは30~40%、ミティキュアでは60~70%にみられます。
- 治療開始後1ヶ月以内にこれらの反応が見られることが多い傾向にあり、このような不快な症状は、通常は1ヶ月を経過した頃から徐々に改善します。
- 局所的なアレルギー反応(不快な症状)を理由として治療を中止した患者さんの割合は、1.5~2.2%と報告されています。
Q 副作用が強く出るのはどんな場合ですか?
- 口の中に傷がある場合、薬の血中濃度が上がり、副作用が強く出る場合があります。そのため、歯科治療や口の中の手術の予定がある場合は、治療を行う歯科等の先生に、舌下免疫療法を行っていることを、あらかじめお申し出下さい。
ただし、これまで薬剤の服用によって窒息を含めた死亡例の報告はなく、歯科治療後に重篤な症状が発症したという報告はありません。
以上のことから、免疫療法中に抜歯などの歯科治療を行う場合、必ずしも休薬を行う必要はないとされていますが、治療を行う歯科等の先生の治療方針にもよりますので、必ずご相談下さい。
Q 副作用の対処法はありますか?
- 副作用の頻度・程度を軽減するため、抗ヒスタミン剤を舌下投与開始1週間前から、投与開始後1ヶ月まで、内服して頂くことがあります。
Q 重大な副作用、アナフィラキシーとは何ですか?
- アナフィラキシー(重大なアレルギー反応)とは、医薬品などに対する急性の過敏反応により、医薬品投与後多くの場合30分以内に、じんましんなどの皮膚症状、腹痛や嘔吐などの消化器症状、息苦しさなどの呼吸器症状、突然の蒼白、意識の混濁などのショック症状が現れる重大なアレルギー反応をいいます。
- そのため、初めてお薬を飲む時は、①院内で内服し、②30分間は院内で安静にする必要があります。
- アナフィラキシーが発生する頻度は、0.1%未満とされています。
- アナフィラキシー(重大なアレルギー反応)の徴候としては、血圧低下、呼吸困難、全身潮紅、顔面浮腫・咽頭浮腫等の血管浮腫、蕁麻疹、喘息などがあります。
Q 薬はいつ飲んだらよいですか?
- 薬の服用前、及び服用後の前後2時間は、激しい運動、アルコール摂取、入浴等を避け、また、服用後2時間以降にこれらを行う場合にもアナフィラキシー等の副作用の発現に注意して下さい。血液循環が亢進し、薬の吸収が促進される等により、アナフィラキシー等の副作用が発現するおそれがあります。
- アナフィラキシー等が発現した場合の対処等を考慮し、家族のいる場所や日中の服用が望ましいです。
Q 薬が溶ける前に飲み込んでしまいました。どうすればいいですか?
- その日のお薬はそれで終了してください。特別の処置は必要ありません。
Q 妊娠・授乳中は治療できますか?
- 妊娠:当院では妊娠中の患者さんに治療を開始することはしていませんが、治療中に妊娠した場合、治療を中断する必要はありません。
- 授乳中:治療の継続は可能です。
Q 誰でも治療が受けられますか?
- 下記に該当する方は治療を受けることが出来ません。
・気管支喘息の症状が強い方
・悪性腫瘍(がん)に対して抗がん剤治療中の方
・自己免疫疾患のある方
・ステロイドの飲み薬・注射薬を使用している方(ステロイドの塗り薬は問題ありません)
・重症の心疾患、肺疾患及び高血圧症のある方
・β遮断薬(心臓の薬)を内服中の方
・三環系抗うつ薬及びモノアミンオキシダーゼ阻害薬(MAOI)内服中の方
Q 1日飲むのを忘れてしまいました。どうすればいいですか?
- 次の日から通常通り再開してください。
Q 体調が悪いとき、風邪をひいた場合は中止した方がいいですか?
- 風邪を引いた際や体調が悪い時は治療を一旦中止してください。再開する場合は、次の設問通りの対応を取って下さい。
Q しばらく薬を飲んでいませんでした。すぐに再開してもいいでしょうか?
- 体調不良などで舌下免疫療法を中断していた場合の再開については、休薬した期間によって、下記の通りの対応となります。
●休薬期間が1日:次の日から通常通り内服可能。但し、休薬した日の分を飲む(2日分飲む)のは不可です。
● 休薬期間が1~2週間以内:同じ量で再開可能。但し、治療開始初期(開始後2週間以内)に休薬した場合は、院内での初回内服からやり直しになります。
● 休薬期間が2~4週間:一定の見解がありませんが、安全性のため、当院では、院内での初回内服からやり直しています。
● 休薬期間が4週間以上:院内での初回内服からやり直しています。
Q 治療中にアレルギーの薬を飲んでもいいですか?
- いつも通り飲んでいただいて問題ありません。
Q 歯医者で治療を受けることになりました。どうすればいいですか?
- 前述の通り、口の中に傷がある場合、薬の血中濃度が上がり、副作用が強く出る場合があります。歯科治療や口の中の手術の予定がある場合は、治療を行う歯科等の先生に、舌下免疫療法を行っていることを、あらかじめお申し出下さい。

