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皮膚がん(悪性腫瘍)

皮膚がんといえばメラノーマ(悪性黒色腫)が有名ですが、その他にも種類がいくつかあります。

日光角化症(光線角化症)

Q どんな癌ですか?

A 皮膚の角化細胞が表皮内でがん化したものです。皮膚の一番表面にある表皮にとどまっているため、表皮内癌ともいわれます。

Q どんな人に発生しますか?

A 慢性的な紫外線の刺激によって、顔や手などの露光部に発生します。60代以上の高齢者に発症することが多いです。色素性乾皮症という基礎疾患のある患者さんの場合は、小児期に発症します。日本人の人口10 万人当たりの罹患率は 100~120/年と推定されており、日本で毎年 10 万人以上の日光角化症が発生すると推定されています。

Q どんな特徴がありますか?

A 顔面や手の甲などの日光が当たりやすい場所にできます。表面にカサカサしたかさぶたのようなものが付いている、赤みを帯びたシミのような病変で、周囲の正常組織との境目が不明瞭です。ときに皮角という灰白色のツノのようなものを伴う場合があります。

Q ひどくなるとどうなりますか?

A 表面が盛り上がってくると同時に皮膚の奥深くまで浸潤し、身体全体に転移する有棘細胞癌に進展します。

Q 検査は何をしますか?

A ダーモスコピーで観察します(保険適用あり)。特徴的な所見が無い場合、局所麻酔下に病変の一部を切り取って、病理検査(顕微鏡で組織を見る検査)に提出して確定診断することがあります。

Q 治療は何を行いますか?

A 癌には珍しく、塗り薬の治療法があります(イミキモド(ベセルナクリーム®))。他に、手術、液体窒素療法などが行われます。

赤みが強くなる、病変が拡大する、えぐれる(潰瘍)、などの変化があった場合は、有棘細胞癌に伸展した可能性があるため詳しい検査が必要です。

ボーエン病(Bowen病)

Q どんな癌ですか?

A 皮膚の角化細胞ががん化したものです。皮膚の一番表面にある表皮にとどまっているため、表皮内癌ともいわれます。

Q どんな人に発生しますか?

A ボーエン病の受診時の平均年齢は 75.2 歳で、ピークが 70 歳代です。男女比は 1:1.21 と女性にやや多い傾向にあります。発症には紫外線や、ヒトパピローマウイルス、ヒ素が関与します。

Q どんな特徴がありますか?

A 左右非対称で、境界が比較的はっきりした紅褐色斑で、緩やかに増大します。色調は不均一で灰色がかって見える部位も混在することがあります。男性の頭顔部、耳介や女性の下肢などに発症することが多くあります。

Q ひどくなるとどうなりますか?

A 皮膚の奥深くまで浸潤し(表皮を超えて、真皮やそれ以下に浸潤する)、身体全体に転移する有棘細胞癌に進展します。

Q 検査は何をしますか?

A 局所麻酔下に病変の一部を切り取って、病理検査(顕微鏡で組織を見る検査)に提出して確定診断します。

Q 治療は何を行いますか?

A 手術を行います。提携の医療機関をご紹介します。

有棘細胞癌

Q どんな癌ですか?

A 皮膚の角化細胞ががん化したものです。

Q どんな人に発生しますか?

A 有棘細胞癌は、日本国内では、基底細胞癌に次いで2番目に多い皮膚がんです。

有棘細胞癌の受診時の年齢は約 8 割が70 歳以上、ピークが 80 歳代、平均が 77.8 歳で、男女比は 1.15:1 と男性が若干多い傾向にあります。人口 10 万人あたり約 2.5 人に発生するとされ、悪性黒色腫の おおよそ1.5 倍から 2 倍程度生じると推定されています。

Q どんな特徴がありますか?

A 高齢者の顔、額、頭皮(特に脱毛のある部位)、耳介、手背などの日光曝露部に発症することが多い癌です。紅色調~肌色で、表面にかさぶたのようなものを付着し、少し盛り上がりのあるシミのような病変、もしくは皮膚から盛り上がった結節(かたまり)です。表面がえぐれたり、壊死組織が生じたり、カリフラワーのような見た目になることがあります。

Q ひどくなるとどうなりますか?

A 全身に転移することがあります。

Q 検査は何をしますか?

A 局所麻酔下に病変の一部を切り取って、病理検査(顕微鏡で組織を見る検査)に提出して確定診断します。

Q 治療は何を行いますか?

A 手術が基本です。進行した場合は、放射線療法や化学療法などを行うこともあります。提携の医療機関をご紹介します。

基底細胞癌

Q どんな癌ですか?

A 毛包(毛穴)由来の細胞ががん化したものです。日本国内では、皮膚がんのなかで最も発症頻度が高い癌です。

Q どんな人に発生しますか?

A 40歳以上の人の、顔面の正中部に発生することが多い癌です。性差はありません。紫外線や外傷、放射線、瘢痕などが誘因となる場合があります。また、基礎疾患(色素性乾皮症、母斑性基底細胞癌症候群、脂腺母斑など)から発症する場合は、若年にも生じ、多発します。

Q どんな特徴がありますか?

A 一見ほくろのようにも見えますが、ほくろに比べて青黒く、表面にろうそくの「ろう」のような光沢があります。中央がえぐれて潰瘍となることがあります。

Q ひどくなるとどうなりますか?

A 基本的に転移はしませんが、治療しなければ、周りの正常な組織を破壊しながら進行することがあります。発症するのは顔面が多いので、整容面で問題になります。

Q 検査は何をしますか?

A ダーモスコピーで観察して、特徴的な毛細血管拡張などの所見があれば診断できます。特徴的な所見が無い場合、局所麻酔下に病変部を切り取って、病理検査(顕微鏡で組織を見る検査)に提出して確定診断することがあります。

Q 治療は何を行いますか?

A 手術で取り除きます。取り残しがないように、病変部だけでなく、周りの正常組織も少しつけて取り除きます。顔面は皮膚の余剰がないので、皮弁や植皮が必要になる場合があります。提携の医療機関をご紹介します。

パジェット病(乳房パジェット病・乳房外パジェット病)

Q どんな癌ですか?

A 汗を出す腺細胞(汗腺)ががん化したものです。

Q どんな人に発生しますか?

A 乳房パジェット病:中高年女性に多い疾患です。男性の発症は極めてまれです。

乳房外パジェット病:高齢者に多い疾患です。

Q どんな特徴がありますか?

A 乳房パジェット病:乳頭を中心に、境界がはっきりした紅斑、びらん、かさぶたなどを伴う病変です。年単位で乳輪や周囲の皮膚に拡大します。病変部は固さがあります。通常片側性(左右どちらか一方に発生する)です。一見、湿疹のようにも見えますが、ステロイドの塗り薬で全く改善しないという特徴があります。

乳房外パジェット病:外陰部や肛門、脇の下に発生する、鮮紅色の病変です。二次的に湿疹やカンジダ症を併発し、痒みを伴うことがあります。病変は徐々に拡大します。

Q ひどくなるとどうなりますか?

A 乳房パジェット病:進行すると乳房内にしこりを触れるようになり、所属リンパ節に転移することもあります。

乳房パジェット病:病変部にしこりを触れるようになり、所属リンパ節に転移することもあります。

Q 検査は何をしますか?

A 乳房パジェット病・乳房外パジェット病:局所麻酔下に病変の一部を切り取って、病理検査(顕微鏡で組織を見る検査)に提出して確定診断します。

Q 治療は何を行いますか?

A 病変部だけでなく周囲の正常組織をつけて、広範囲の切除を行います。病変の広がりがどこまでかは、肉眼のみでは確認できないため、周囲の組織を複数採取して癌細胞の有無を確認する、mapping biopsyという検査を行い、病気の範囲を確定した後に、切除術を行います。提携の医療機関をご紹介します。

メラノーマ(悪性黒色腫)

Q どんな癌ですか?

A メラニン色素を産生する細胞(色素細胞)ががん化したものです。皮膚がんの中では3番目に多いがんです。日本では人口10万人あたり約2人(年間発症1,500~2,000例)と考えられています。

Q どんな人に発生しますか?

A 紫外線の影響が考えられ、紫外線防御能の低い(皮膚のメラニンが少ない)白人に高頻度に発生し、日光の当たりやすい部位に生じやすいとされています。黄色人種である日本人は白人よりは発生頻度は低いとされています。

Q どんな特徴がありますか?

A がん細胞がメラニン色素を多量に産生している場合が多く、そのため黒色を呈し、黒色腫と呼ばれます。メラニン色素の産生の程度によっては、褐色のものもあります。色調に濃淡があるのが特徴です。極めてまれにメラニンをほとんど産生しないメラノーマもあり、肌色~淡紅色の場合もあります。

・末端黒小型:足のうらや手のひら、手足の爪部(爪下部)などに発生しやすく、全体の約30%の発生があります。日本人に最も多いタイプです。

・表在拡大型:胸・腹・背中など体の中心部や手足の付け根に近い部位に発生しやすく、白色人種や日本人でも肌の色が白い人に発生が多いタイプです。

・結節型:部位は関係なく、がん細胞の塊が徐々に大きくなっていくタイプです。結節のまわりには通常、色素斑(染み出し)がみられません。

・悪性黒子型:主に高齢者の顔面に発生しやすく、不規則な形の色素斑(しみ)が徐々に拡大するタイプです。時間がたてば色素斑の中央に結節が生じるようになります。

Q ひどくなるとどうなりますか?

A 病変が徐々に拡大し、全身に転移することがあります。

Q 検査は何をしますか?

A まずダーモスコピーで検査し、悪性黒色腫である可能性を判断します。確定診断には、局所麻酔下に病変の一部を切り取って、病理検査(顕微鏡で組織を見る検査)に提出する必要があります。全身の転移の有無を調べる検査も行います。提携医療機関をご紹介します。

Q 治療は何を行いますか?

A 手術が基本です。合わせて化学療法、放射線療法などが行われます。提携医療機関をご紹介します。

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