掌蹠膿疱症
掌蹠膿疱症とは
- 中年の方の手掌や足底に小さな膿疱(膿をもった小さな袋状のもの)が多数みられる疾患です。
- 膿に菌は含まれておらず、人に感染はしません。
- 胸、背中、腰骨、肩などの関節に痛みを伴うことがあります(関節炎を合併した場合)。
原因
- 原因は分かっていません。
- 喫煙、扁桃炎、虫歯、中耳炎等により、症状が悪くなります。
- 1日20本以上の長期喫煙者に多い病気です。
- 膿疱性乾癬という病気の限局型(症状が一部に限局している型)に含めることがあります。
経過
- 水疱→膿疱→かさぶたと慢性に経過し、何年にもわたって症状が続くのが特徴です。
検査
- 扁桃炎などの炎症の有無を調べるために血液検査することがあります。
- 歯科金属(歯の詰め物)が入っていて金属アレルギーが疑われるには、金属パッチテストを行うことがあります。
治療
原因が不明な病気ですので、根本的な治療法が確立されていないのが現状です。
症状を悪くする要因(喫煙、扁桃炎、虫歯、金属アレルギー)を排除するのが、治療の第一歩です。
治療効果は出づらく、禁煙及び虫歯や扁桃炎など、悪化に関与していると思われる原因の治療を行った場合であっても、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、数年がかりで少しずつ良くなっていく病気です。
生活指導・悪化因子除去
- 禁煙:必須です。禁煙をしなければ、治すのは難しいと考えて下さい。
- 扁桃炎を繰り返している方:扁桃摘出(耳鼻科での手術)
- 虫歯がある方:歯科治療
- 金属アレルギーがある方:歯科金属(歯の詰め物)の除去
皮膚科での治療
あくまで対症療法(原因を排除するのではなく、症状を和らげる)です。
- 塗り薬:ステロイド、亜鉛華軟膏、保湿剤、ビタミンD外用剤
- 貼り薬:ボチシート
- 飲み薬.:アレロック・アレグラなどの痒み止め、ビオチン散
- 光線療法:エキシマライト
新しい治療法
- 生物学的製剤:トレムフィア(グセルクマブ;抗IL-23p19モノクローナル抗体製剤)という薬が、2018年11月から使えるようになりました。ただし、どなたでも使わるわけではなく、禁煙を含め上記の治療を全て行っても改善が乏しい方が対象です。また、使用できる医療施設が限られており、十分な検査や夜間休日などの緊急時の対応が可能で、呼吸器内科医、放射線専門医、感染症専門医などとの連携が十分可能な施設でしか使用できません。この薬が必要と判断した場合は、提携医療機関にご紹介します。